二次創作

妄想してみた

In his childhood

木枯らしが吹き荒ぶ寒い日。  ハールが青い閃光と共に執務室に現れたのは、午後の早い時間だった。  ゼロが事故で古い魔法薬を浴びてしまった。  その知らせを聞いたハールは、軍からの使いを魔法の塔に残したまま、単身魔法で瞬間移動してきたのだ。 ...
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Childhood’s end

ポットにお湯を注ぎ、紅茶が抽出されるのを待つ。手持ち無沙汰で窓の外をぼんやりと眺めていると、薄曇りの空から、ちらりちらりと白いものが舞い始めた。  どうりで朝から冷えるわけだ。  ハールは暖炉に薪を足した。  暖炉の前では、ここまで大はしゃ...
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仔犬のワルツ

今年のゼロの誕生日は、去年の宣言通り、公会堂のホールで盛大に祝われることになった。  アンリが来る前から、夜会の警備はエースの隊が引き受けるのが習慣になっていたので、礼服を来てフロアに立つゼロを見るのは初めてだ。  だけどゼロは気負った様子...
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春雷

レヴィは談話室のソファで鳥の図鑑を見ていた。  春になってから、兵舎の敷地内には様々な鳥が飛んできた。鏡の国に鳥はいなかったから、久しぶりに見る鳥が珍しくて眺めていると、レイが貸してくれたものだ。  レイの部屋にはたくさんの本がある。そのう...
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春のとまりの森の家

豊かな緑の隙間から、麗かな日差しがこぼれる森の奥。春らしい明るさの中、森の空気はいつもどおり少し冷たく、しんと透きとおっている。  クレイドルの大魔法使いハールの家は、そんな場所にひっそりと在る。       ⭐️          ⭐️ ...
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春隣

クレイドルの長い長い冬も終わりに近づき、そこここに春の気配が香り始めていた。街を行き交う人々の表情も、心なしか明るい。  そんな中、ルカ、エドガー、ゼロの3人はセントラルのカフェで、困り顔を寄せ合っていた。 「ごめん、やっぱり黒の兵舎でも無...
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寒い夜

歌声が聞こえる。  ディーンは薄く目を開いた。  辺りは薄暗く、頬に机の冷たい固さを感じた。  ――ああ、また本を読みながら寝てしまったのか。  意識が覚醒するにつれて、少しずつ違和感を感じる。机の高さも、椅子の座り心地も、慣れ親しんだ自分...
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後日談  ランスロットくんとシリウスさん

「ありがとうな、助かった。ここは生徒の掃除区域に入ってないからな」 「じゃあ、俺はこれで」  ゼロくんがシリウスさんに竹箒を渡した。  二人のすぐ横に、枯れ葉のこんもりした山ができている。  どうやら二人でこの辺りの掃除をしていたようだ。シ...
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ここはクレイドル学園

「先生、落としたよ」  振り返ると、よく見知った男子生徒が、一人。  彼が差し出しているこげ茶の革のパスケースは、私が免許証入れとして愛用しているものだ。さっきキーケースを取り出す時に、一緒に落としてしまったらしい。 「やだ、本当!ありがと...
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リコスの特別な日

リコスの大好きなご主人様、ゼロは、赤の軍の幹部なのでとても忙しい。昼間は書類仕事の時以外、ほとんど部屋にいない。  だからリコスの1日の主な仕事は留守番だ。  ご主人様を送り出した後は、帰ってくるのを楽しみに待つ。  昼にはアンリが様子を見...