新聞部の部室は、同じ棟の、執務室とは逆の端にある。わざわざ執行部から一番離れた部屋を選ぶあたり、何をしようとしているのか怪しいものだといつも思う。 ルシファーは長い廊下を歩きながら、ふと自分の右手にあるワームに目をやった。 ほんのりと温...
2021-11
ルシファーの惑乱
恋は、悪魔を狂わせる。 放課後の議場には、執行部だけではなくメゾン煉獄の面々も揃い、皆でテーブルを囲んでいた。テーブルには、バルバトスが用意した菓子や軽食が所狭しと並んでいる。 多少のトラブルはあったものの、なんとか今年も体育祭を無事終...
内緒の殿下3
太陽のない魔界は、わたしの母国のほど四季がはっきりしているわけではない。それでも月の色や、風の匂い、生き物の営みは四季と同じようなサイクルを繰り返している。 グリフォンの気が荒くなり、攻撃的になってしまうというこの季節。通学路やRADで...
🐉9 つるバラの顛末を聞いても、バルバトスは悲しそうな顔は見せなかった。ただ、みなさんがご無事でよかった、ときれいに微笑んだ。 だけどガゼボの影に、呪いの影響を受けずに生き残っていたつるバラの株を見つけた時は、とても嬉しそうだった。 ...
🐉6 「実は、数日前から、反対派の連中に妙な動きがあると聞いていた。だから、君を保護するつもりで魔王城に来てもらうことにしたんだ。それなのに、かえって君を危険な目に合わせてしまった。本当に申し訳ない」 「私とルシファーもその情報がずっと頭に...
内緒の殿下 〜誕生祭2021編〜
🐉1 魔界のハロウィンは、殿下の誕生祭。誕生日当日と、前夜祭、後夜祭合わせて3日間、魔界のあちこちで殿下の誕生日を祝い、彼を讃える祭典やパーティーが催される。 ここ魔界での「ハッピーハロウィン」の挨拶は、「殿下お誕生日おめでとう」と言う...