2022-05

妄想の函

天使の境界

精一杯背伸びをしても、僅かに届かない。伸ばした指先の少し上にある本を、後ろから伸びてきた手が容易く取り出し、ルークに差し出した。 「今日はシメオンと一緒じゃないんだね」  近頃やけに絡んでくる夢魔だ。卑屈な感じが、どうしても好きになれない。...