妄想の函

天使の境界

精一杯背伸びをしても、僅かに届かない。伸ばした指先の少し上にある本を、後ろから伸びてきた手が容易く取り出し、ルークに差し出した。 「今日はシメオンと一緒じゃないんだね」  近頃やけに絡んでくる夢魔だ。卑屈な感じが、どう...
妄想の函

LILITH ~ 恋する天使~

全ては、計画通り。 あの小面憎いルシファーが人間界からの留学生を溺愛しているという。メフィストフェレスも、RAD内を仲睦まじく歩く二人を度々見かけた。 あの人間の小娘をルシファーから奪ってやれば、やつはどんな...
妄想の函

ケセラセラ   〜紅茶派のあなた2〜

 今日は、久しぶりの魔王城紅茶教室の日。  不定期に魔王城で開かれるこの紅茶教室は、殿下の思いつきから始まった。先生は魔王城のパーフェクト執事、生徒はわたし一人というとてもとても贅沢な教室。もちろん先生は多忙なので、頻繁に開...
妄想してみた

In his childhood

 木枯らしが吹き荒ぶ寒い日。  ハールが青い閃光と共に執務室に現れたのは、午後の早い時間だった。  ゼロが事故で古い魔法薬を浴びてしまった。  その知らせを聞いたハールは、軍からの使いを魔法の塔に残したまま、単身...
妄想してみた

Child hood’s end

 ポットにお湯を注ぎ、紅茶が抽出されるのを待つ。手持ち無沙汰で窓の外をぼんやりと眺めていると、薄曇りの空から、ちらりちらりと白いものが舞い始めた。  どうりで朝から冷えるわけだ。  ハールは暖炉に薪を足した。  ...
妄想の函

 新聞部の部室は、同じ棟の、執務室とは逆の端にある。わざわざ執行部から一番離れた部屋を選ぶあたり、何をしようとしているのか怪しいものだといつも思う。  ルシファーは長い廊下を歩きながら、ふと自分の右手にあるワームに目をやった。 ...
妄想の函

ルシファーの惑乱

 恋は、悪魔を狂わせる。  放課後の議場には、執行部だけではなくメゾン煉獄の面々も揃い、皆でテーブルを囲んでいた。テーブルには、バルバトスが用意した菓子や軽食が所狭しと並んでいる。  多少のトラブルはあったもの...
妄想の函

内緒の殿下3

 太陽のない魔界は、わたしの母国のほど四季がはっきりしているわけではない。それでも月の色や、風の匂い、生き物の営みは四季と同じようなサイクルを繰り返している。   グリフォンの気が荒くなり、攻撃的になってしまうというこの季節...
妄想の函

🐉9  つるバラの顛末を聞いても、バルバトスは悲しそうな顔は見せなかった。ただ、みなさんがご無事でよかった、ときれいに微笑んだ。  だけどガゼボの影に、呪いの影響を受けずに生き残っていたつるバラの株を見つけた時...
妄想の函

🐉6 「実は、数日前から、反対派の連中に妙な動きがあると聞いていた。だから、君を保護するつもりで魔王城に来てもらうことにしたんだ。それなのに、かえって君を危険な目に合わせてしまった。本当に申し訳ない」 「私とル...
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