妄想の函

おまけの殿下

 うねうねと。無脊椎動物の足らしきものがうねりながら伸びている。その動きは、オズワルドの水色の足によく似ているが、色は彼のものよりずっと暗い、夜の海の色をしていた。意のままに動かすことができたので、それが自分の足だとすぐに理解でき...
妄想してみた

仔犬のワルツ

 今年のゼロの誕生日は、去年の宣言通り、公会堂のホールで、盛大に祝われることになった。  アンリが来る前から、夜会の警備はエースの隊が引き受けるのが習慣になっていたので、礼服を来てフロアに立つゼロを見るのは、初めてだ。 ...
妄想の函

内緒の殿下   〜魔界の太陽 編〜

 魔界には太陽がない。 「人間界の太陽が恋しいかい?」  あれは、初めて殿下と二人で迎えた朝。  彼が、ぽつりと尋ねた。 「……少しだけ」  本当は、朝日の昇らない朝を迎えるたびに、太陽を恋しく思って...
妄想の函

紅茶派のあなた

 バルバトスに美味しい紅茶の淹れ方を習うために魔王城に通うようになってから、しばらく経つ。  この紅茶教室のきっかけは、殿下の一言だった。  殿下が人間界の話を聞きたがっているからと、ルシファーに連れられ魔王城を訪れた...
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妄想の函

内緒の殿下2

 殿下に助けてもらったお礼を届けるために、RADの執務室を訪ねた。  お礼に選んだのは、ルシファーに教わった、殿下が最近お気に入りだという紅茶。  最初は思い切って手作りのお菓子を、と考えていたんだけど。兄弟たちの「殿...
妄想の函

内緒の殿下

 ——今日の会議には、MCも来るように。遅刻は厳禁だ。  朝食の時にルシファーにそう念を押されていたので、授業が終わってすぐに講義室を出て議場に向かった。  RADの作りはちょっとややこしくて、こっちに来たばかりの時は...
妄想の函

ルシファーの受難

 MCの無自覚の恋心は、まるで植物の芳香のように彼女の全身から立ち上り、甘くルシファーを誘う。  彼を見上げる瞳に、彼を呼ぶ声に、蜜のようにひそむ恋。それはまるで遅延性の毒のように、甘やかにルシファーを侵し始めた。  ...
妄想の函

ソロモンの災難

 油断した。  まさかあの短い詠唱が終わる前に殴られるとは思わなかったし、俺よりずっと小柄な、しかも人間の女の子のパンチで魔法陣の外までふっ飛ばされることは予測してなかった。  俺は数百年ぶりに情けなく、地面に尻をつけ...
妄想の函

ルシファーの逡巡

 書店を出たルシファーは、足を止め、訝し気に眉を寄せた。 (一体、何事だ……?)  視界にいるあらゆる悪魔たちが、熱望するような目で同じ方向を見つめている。  下級悪魔たちは、だらしなく口を開け、だらだらとよだれ...
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