妄想の函

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天使の境界

精一杯背伸びをしても、僅かに届かない。伸ばした指先の少し上にある本を、後ろから伸びてきた手が容易く取り出し、ルークに差し出した。 「今日はシメオンと一緒じゃないんだね」  近頃やけに絡んでくる夢魔だ。卑屈な感じが、どう...
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LILITH ~ 恋する天使~

全ては、計画通り。 あの小面憎いルシファーが人間界からの留学生を溺愛しているという。メフィストフェレスも、RAD内を仲睦まじく歩く二人を度々見かけた。 あの人間の小娘をルシファーから奪ってやれば、やつはどんな...
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ケセラセラ   〜紅茶派のあなた2〜

 今日は、久しぶりの魔王城紅茶教室の日。  不定期に魔王城で開かれるこの紅茶教室は、殿下の思いつきから始まった。先生は魔王城のパーフェクト執事、生徒はわたし一人というとてもとても贅沢な教室。もちろん先生は多忙なので、頻繁に開...
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 新聞部の部室は、同じ棟の、執務室とは逆の端にある。わざわざ執行部から一番離れた部屋を選ぶあたり、何をしようとしているのか怪しいものだといつも思う。  ルシファーは長い廊下を歩きながら、ふと自分の右手にあるワームに目をやった。 ...
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ルシファーの惑乱

 恋は、悪魔を狂わせる。  放課後の議場には、執行部だけではなくメゾン煉獄の面々も揃い、皆でテーブルを囲んでいた。テーブルには、バルバトスが用意した菓子や軽食が所狭しと並んでいる。  多少のトラブルはあったもの...
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内緒の殿下3

 太陽のない魔界は、わたしの母国のほど四季がはっきりしているわけではない。それでも月の色や、風の匂い、生き物の営みは四季と同じようなサイクルを繰り返している。   グリフォンの気が荒くなり、攻撃的になってしまうというこの季節...
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🐉9  つるバラの顛末を聞いても、バルバトスは悲しそうな顔は見せなかった。ただ、みなさんがご無事でよかった、ときれいに微笑んだ。  だけどガゼボの影に、呪いの影響を受けずに生き残っていたつるバラの株を見つけた時...
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🐉6 「実は、数日前から、反対派の連中に妙な動きがあると聞いていた。だから、君を保護するつもりで魔王城に来てもらうことにしたんだ。それなのに、かえって君を危険な目に合わせてしまった。本当に申し訳ない」 「私とル...
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内緒の殿下 〜誕生祭2021編〜

🐉1  魔界のハロウィンは、殿下の誕生祭。誕生日当日と、前夜祭、後夜祭合わせて3日間、魔界のあちこちで殿下の誕生日を祝い、彼を讃える祭典やパーティーが催される。  ここ魔界での「ハッピーハロウィン」の挨...
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おまけの殿下

 うねうねと。無脊椎動物の足らしきものがうねりながら伸びている。その動きは、オズワルドの水色の足によく似ているが、色は彼のものよりずっと暗い、夜の海の色をしていた。意のままに動かすことができたので、それが自分の足だとすぐに理解でき...
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