妄想の函

妄想の函

ルシファーの逡巡

書店を出たルシファーは、足を止め、訝し気に眉を寄せた。 (一体、何事だ……?)  視界にいるあらゆる悪魔たちが、熱望するような目で同じ方向を見つめている。  下級悪魔たちは、だらしなく口を開け、だらだらとよだれを垂らしていた。中には酔っ払い...