3冊目|小煌女 (著:海野つなみ)


今日は「逃げるは恥だが役に立つ」の海野つなみさんがバーネットの「小公女」をモチーフに描いたSFを紹介するよ!

小煌女【全5巻】  海野つなみ  Kiss KC(講談社)

 舞台はもちろんロンドンなんだけど、未来の「地球連邦英国自治区」。上流階級の子女が集まるベネディクト女学校に、惑星トアンの王女ジノンが侍女を一人連れて留学(実は亡命)してきます。でもその半年後、惑星トアンが消滅。さらに王女は、実は身代わりとして侍女が入れ替わっていたことを告白。生き残った侍女は学園のハウスメイドのレベッカとして働くことになります。王女として振る舞っていた時から仲がよかったメイドのサリーとお互い支え合いながら。

 トアンから辺境惑星ミトンに派遣されていた調査隊は生き残り、その隊長オナスンと補佐のシクサは王女とその侍女を探しにロンドンにやってきて、ベネディクト女学校のお隣のお屋敷に引っ越してきます。なんとなく大まかなあらすじはバーネットの「小公女」に沿ってるでしょ?でもレベッカとサリーや女学校の他の生徒もハイティーンの女の子だから、それぞれの複雑な事情が挟まれたり、レベッカとトアンの謎がだんだん解き明かされていったり。物語の本筋とはあんまり関係ないイライザのエピソードとか切ない……!

 サリーのレベッカへの恋に近い憧憬と好意とわずかな卑屈さがね、もう。バーネットの「小公女」では最後、ベッキーがセーラの家の使用人になって終わってたけど、この二人がそんな関係で終わったら納得しねえぞ、どう決着つけるんだ!っていう気持ちで読み進めてました。海野つなみさんがそんな終わらせ方するわけないよね!うん、満足のいく終わり方でした!

 サリーの恋がまた、可愛くて。4巻何回も読んじゃう。

バーネットの「小公女」は大好きで何回も読み返した。特に好きだったのは、ラム・ダスが忍び込んで屋根裏のセーラのお部屋をゴージャスにして魔法の御馳走を用意してしまうところ

著者の海野さんは後書きで、バーネットの小公女の「魔法のごちそう」の下りで、後で自分の部屋に帰ったベッキーはどんな気持ちだっただろうと切なくなっちゃったって言ってるよ

この「小煌女」で丁寧に書かれてるよね。子供のころ読んだ時に、その発想はなかった。やっぱり物語を作る人は視点が違うのかなあ。大人になってから読むと、ベッキーがセーラの使用人で終わったことも含めて、その辺がバーネット女史の生きていた世界の限界だったのかもなとは思う

オーナー小公女お好きだったんですか?名作ですよね

うん、この漫画には出てこなかったけど、裕福な時も過酷な時も常に何かしら妄想してるところにすごく共感してた

せめて「空想」と……

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