妄想の函 おまけの殿下 うねうねと。無脊椎動物の足らしきものがうねりながら伸びている。その動きは、オズワルドの水色の足によく似ているが、色は彼のものよりずっと暗い、夜の海の色をしていた。意のままに動かすことができたので、それが自分の足だとすぐに理解できた。 うね... 2021.10.17 妄想の函
妄想してみた 仔犬のワルツ 今年のゼロの誕生日は、去年の宣言通り、公会堂のホールで盛大に祝われることになった。 アンリが来る前から、夜会の警備はエースの隊が引き受けるのが習慣になっていたので、礼服を来てフロアに立つゼロを見るのは初めてだ。 だけどゼロは気負った様子... 2021.10.10 妄想してみた
妄想の函 内緒の殿下 〜魔界の太陽 編〜 魔界には太陽がない。 「人間界の太陽が恋しいかい?」 あれは、初めて殿下と二人で迎えた朝。 彼が、ぽつりと尋ねた。 「……少しだけ」 本当は、朝日の昇らない朝を迎えるたびに、太陽を恋しく思っていた。だけどそれを殿下に伝えるのはなんだか... 2021.10.08 妄想の函